「吉村ひとみさんをしのんで」
悲しいお知らせです。菊舎顕彰会副会長・吉村ひとみさんが、
七月十五日ご逝去なさいました。六十五歳でした。
昨日十八日、会長や理事さんらとご葬儀に参列いたしました。
昨年一月にすい臓がんが見つかり、抗がん剤投与や手術もお受けになっておられましたが、
薬効や周囲の手厚い看護も甲斐なく御往生なさいました。
思い起こせば、二〇〇〇年十一月四日、梅光女学院大学に招かれ「菊舎尼 旅の人生」の講演を終えた私に、
声をかけてくださったのが吉村さんとの最初の出会いでした。それからしばらくして私宅にお母様とご一緒にお越しになり、
菊舎顕彰会のお仲間になってくださいました。
入会後のご活躍は目覚ましく、多方面にわたる顕彰活動と私を支え続けてくださいました。心よりお礼を申しあげます。
菊舎ゆかりの地巡り研修では下見はもちろん、本職顔負けの名ガイドぶりで、参加者全員がひとみファンとなり、
御蔭で研修旅行は今日まで継続中です。
二〇〇三年菊舎生誕二百五十年記念に開催した山口県立美術館での菊舎展の図録づくりに続き「菊舎研究会」の発足など、
そのご功績は語りつくせません。茶事、香道、和歌にもたけておられ、心強い存在でした。
一か月前ご自宅にお見舞いに伺った折、「また来ますね」と声をかけた時「もう一度田耕に行きたいの」と仰いましたが、
その願いはかないませんでした。
ただ一つ、間に合ってよかったと思うことは、市立美術館と歴史博物館で開催中の「菊舎 旅と友を愛したひと」展をご覧になれたことで、
何よりの贐でした。
今朝、私の庭に真っ白い蓮の花が咲きました。吉村さんの笑顔が浮かびました。
いよいよ夏本番です。皆さんお大事になさってくださいね。
一字庵十一世 岡 昌子