頭陀袋  一字庵通信

頭陀袋 一字庵通信 bV9
  2024年11月16日

    小学生俳句で遊ぶ

 十一月十四日(木)午後、豊北小学校の五・六年生六十三名を対象に田耕俳句会メンバー五名が、俳句の指導に参りました。 五・六時限を使い内田恒生氏が大まかな流れを説明し、それに従って児童たちも与えられた季語に挑戦して俳句を作りました。 同じ季語の三人が寄って代表句を決め、大きめの紙にマジックで清書し、前のボードに二十句貼り付け一段落。 ここから、いよいよ俳句会。各自一句選んで、名前付きのシールを貼りに出ます。自分たちの俳句は選べません。 児童の選句が終わったら校長や担任の先生と句会メンバーも選句します。自分たちの俳句に何点入るかハラハラドキドキの時間です。 先ずは最初の句からシールを貼った人が選句の理由を述べます。「なんとなく」という評はいけません。 さすがに元校長であった内田氏、てきぱきとした指導で大変盛り上がりました。皆さんなら下の二十句からどの一句を選ばれますか?
 最後に、私が玄関の投句箱に入っていた俳句「夏祭りビー玉ほしくてラムネ飲む」を「ビー玉がほしくてラムネ一気飲み」と季語を一つにするよう助言。 全員に「俳句手帳」を贈呈し、これを機会に、どんどん俳句に親しんでほしいと激励し楽しい俳句会を終えました。
田耕俳句会は毎月一回、昼(対面)と夜(通信)の部があり、入会歓迎。

一字庵十一世 岡 昌子




雪がふり外に出たけど家帰る
大根やスーパー並ぶ白い主
にじ色の軽くて丸いしゃぼん玉
セミが鳴くうるさいあまり水かける
クリスマスチキン食べれば鈴の音
じいちゃんのみかんの果汁とびにけり
つばめたち街をはばたく赤い空
浅いとこ深いもあればプール鬼
森の中鹿たちの声ひびいてる
10卒業だ校歌をうたい帽子なげ
11スーパーに並ぶさんまの目の青さ
12友達とすいかを食べて種とばし
13打ち上げてラストを飾る夏の空
14バーベキュー肉のとりあい熱くなる
15ゆらゆらと春の放課後風あびて
16背景の一面咲いてるひまわりだ
17学校でグレーのセーターあったかい
18大切にあさがお育て一年生
19台風の前のしずけさ不安だな
20赤白黄中庭に立つチューリップ




頭陀袋 一字庵通信 bV8  2024年7月19日

    「吉村ひとみさんをしのんで」

 悲しいお知らせです。菊舎顕彰会副会長・吉村ひとみさんが、 七月十五日ご逝去なさいました。六十五歳でした。
昨日十八日、会長や理事さんらとご葬儀に参列いたしました。
 昨年一月にすい臓がんが見つかり、抗がん剤投与や手術もお受けになっておられましたが、 薬効や周囲の手厚い看護も甲斐なく御往生なさいました。
 思い起こせば、二〇〇〇年十一月四日、梅光女学院大学に招かれ「菊舎尼 旅の人生」の講演を終えた私に、 声をかけてくださったのが吉村さんとの最初の出会いでした。それからしばらくして私宅にお母様とご一緒にお越しになり、 菊舎顕彰会のお仲間になってくださいました。
 入会後のご活躍は目覚ましく、多方面にわたる顕彰活動と私を支え続けてくださいました。心よりお礼を申しあげます。 菊舎ゆかりの地巡り研修では下見はもちろん、本職顔負けの名ガイドぶりで、参加者全員がひとみファンとなり、 御蔭で研修旅行は今日まで継続中です。
 二〇〇三年菊舎生誕二百五十年記念に開催した山口県立美術館での菊舎展の図録づくりに続き「菊舎研究会」の発足など、 そのご功績は語りつくせません。茶事、香道、和歌にもたけておられ、心強い存在でした。
 一か月前ご自宅にお見舞いに伺った折、「また来ますね」と声をかけた時「もう一度田耕に行きたいの」と仰いましたが、 その願いはかないませんでした。 ただ一つ、間に合ってよかったと思うことは、市立美術館と歴史博物館で開催中の「菊舎 旅と友を愛したひと」展をご覧になれたことで、 何よりの贐でした。
 今朝、私の庭に真っ白い蓮の花が咲きました。吉村さんの笑顔が浮かびました。
 いよいよ夏本番です。皆さんお大事になさってくださいね。

一字庵十一世 岡 昌子



頭陀袋 一字庵通信 bV7
2024年7月11日

下関市内小学校十三校の八十人よりご投句いただいた、俳句相撲選手権 美術館場所が、6月30日に行われました。
菊舎顕彰会の予選を通過した二十四人が三人一組となり出場。当日の出席は十五人でしたが、東西に分かれ欠席者の俳句も相撲をとりました。 俳句相撲の経験のある子は二名で、付き添いの保護者さん達も最初は緊張されている様子。
しかし、取組の進むごとにリラックスされ、会場は盛り上がりました。 呼び出しに紹介された東西の俳句が土俵を一周し、行司の「はっけよい〳〵」「ノコッター」の声とともに、色分けされた団扇を一斉に挙げ勝敗が決まります。 同数の場合は、美術館長、歴博館長、菊舎顕彰会理事の三名の審判員の判定で軍配が上がります。こうして決まった下記の出場俳句を清書した短冊は、七月二十一日(日)まで、下関市立歴史博物館に展示されています。 これからも五七五のリズムに言葉をのせて俳句をつくり、また、秋の菊舎顕彰俳句大会にご応募してください!

一字庵十一世 岡 昌子

出場俳句氏名学校四股名
緊張し全員進級新学期 中野月葉 豊北小六年 四王司山 横綱
転校しけん玉うまいとほめられる 増田偉行 豊田下小四年 四王司山 横綱
この声は山で恋する鹿たちか 金尾悠李 楢崎小六年 四王司山 横綱
春よこいすずしい風がすきとおる 内田和花 豊浦小五年 馬関 大関
泣きながら妹ねないクリスマス 西村蒼結 豊北小六年 馬関 大関・歴博賞
花吹雪ぼくのまわりをかけまわる 小塩桂太郎 豊北小六年 馬関 大関
秋の夜しずかな月が見ているよ 沖村芽依 熊野小四年 干珠 関脇
キラキラだ野原一面霜おりて 鳴瀬心唯 豊田下小六年 干珠 関脇
菜の花や黄色にそまる私の目 北村一花 楢崎小六年 干珠 関脇
じゅうどうに行きつかれたな春の夜 松野 聡 豊北小六年 赤間関
春が来る学年上がったおめでたい 森重颯人 豊田下小五年 赤間関
花びらやきれいにちってわかれの時 山本統矢 川中小四年 赤間関
なのはなのしあわせにいるたんぼみち 坂本綾音 川棚小四年 響灘
風がふくさくらの下の昼休み 村上蒼真 豊北小六年 響灘
春休みまたねとトラックなみだふく 畚野菜々子 山の田小六年 響灘
真夏日はくらくらするなたおれそう 濱村 心 小串小五年 満珠
家でると猫暑そうにのびている 和田湖日 豊北小六年 満珠
春の日や日かげにネコのかくれんぼ 小池千詠華 誠意小五年 満珠 美術館賞
たんぽぽが風で飛ばされ消えてゆく 斎藤竜太 豊北小六年 火の山
暑い夏応援団の声ひびく 村井凪沙 豊田下小六年 火の山
いってきます庭にさいてるチューリップ 登根望結 西山小四年 火の山 一字庵賞
花ざかりわたしはどこにすわろうか 久保碧衣 名陵小五年
ご飯待つシュリシュリシュリと雀の子 森 義之 楢崎小六年
たまごやきうぐいすの声さくらかな 河野舞優 一の宮小五年




頭陀袋 一字庵通信 bV6  2024年6月15日

今年の梅雨入りは遅れているようで、毎日暑いですね。
皆さん、いかがお過ごしでしょうか。今日は、只今開催中の菊舎展への観覧のお誘いです。
先ずは、長府庭園三の蔵で開催中の「菊舎・東海道五十余駅画賛今昔」です。
寛政六年(一七九四)春、菊舎が江戸よりの帰途、東海道の佳景を心に染め置き描いた五十三次の画賛と、二百三十年経た現在のその場所の写真とを並べて展示しています。写真撮影者・中村佑氏の菊舎と写真にかける熱い思いがじんじん伝わる展示です。明日の日曜日で終わりますので、ご都合をつけて、ぜひ、足を運んで見てくださいね。中村氏は、当ホームページの「よそ見 わき見 気まま旅」を発表している菊舎顕彰会の会員さんです。

「菊舎 旅と友を愛したひと」の展覧会の会期は、
市立美術館、七月十五日(月・祝)まで、
歴史博物館、七月二十一日(日)までです。
こちらも、またとない展覧会です。どうぞ、ご観覧くださいませ。

最後に、今月三十日(日)午後一時より、美術館講堂において、市内小学校十三校の二十四名による俳句相撲が行われます。 四股名をつけた八組が東西に分かれて取組、観覧者の挙げる団扇の数で勝敗が決まります。 果たして横綱になるのは誰のどんな俳句?ハラ〳〵ドキ〳〵の美術館場所です。観覧のすべての皆さんにお土産も用意されています。楽しみにしていてください。ご入場をお待ちしています。

一字庵十一世 岡 昌子



頭陀袋 一字庵通信 bV5  2024年1月21日

 皆さん、こんにちは。三年ぶりに頭陀袋を一杯にして、一字庵が戻ってきました。 長い間の雲隠れご心配おかけしました。私もまもなく八十の誕生日を迎えます。 近年は年中行事のように入退院を繰り返しつつも、細々と調査資料の整理をし、念願の『田上菊舎和歌集』や『田上菊舎年譜集成』を編集・刊行することが出来ました。 たくさんの方々のお支えのお蔭であり、御礼を申し上げます。
 さて、今年も恒例の子ども新春俳句相撲大会が太翔館(豊北町歴史民俗資料館)で行われました。 NHKや民放テレビ局、新聞社の取材も入り盛況でした。
菊舎顕彰会の俳句相撲は、平成十五年(2003)年秋、菊舎生誕地の田耕小学校の児童相手に始めました。 その時は体育館に集まった全校生と、菊舎俳句カルタ(大判で手作り)取りもしたと記憶しています。 それから二十年間、顕彰会の名物行事として、幼児から大人までを相手に各地で俳句相撲を開催しています。 俳句を通して、菊舎の願いのこもった地域文化の発展に寄与したいと思います。
一月十八日、豊北小学校五年生三十五名が、豊北町にちなむ四股名をつけた八つの班に分かれ、取組表に従って俳句で勝負。 東西の団扇の数の多い方が勝ち上がっていくトーナメント方式です。佳句が僅差で落ちたり、ハラハラドキドキの相撲でした。結果は次の通りです。

横綱土井ケ浜「すごろくや家族で遊ぶもりあがる」
準優勝 敢闘賞鬼の岩「かめ山のかいだんのぼる初日の出」
殊勲賞河豚の海「初日の出雨雲かぶり見えぬ朝」
技能賞梨の山「初日の出まぶしい朝にあいさつす」
角島湖「夜はふける上がれぬすごろく目をこする」
白滝山「お年玉たいきんもらって初笑い」
太翔士「初日の出きれいな海にきらめくよ」
二見万重「すごろくをしようと思い人集め」
一字庵賞(個人の部)「妹の寝顔見るなり初笑い」 今西 栞

これから小学校に投句箱を置き、顕彰会が児童たちの俳句を集めて指導にあたることになりました。 素晴らしい日本の言葉と自然に、心を寄せてくれることを大いに期待しています。 そして、時折、会のホームページに発表できればと思っています。
一字庵十一世 岡 昌子


バックナンバー
ホームへ