よそ見 わき見 気まま旅

第45回  中山道(下諏訪)
望月城跡より望月の牧を臨む

 菊舎の書き残したものには見えないようですが、和田宿から長久保宿、塩名田宿、岩村田宿と進むには必ず望月宿を通ります。

塩名田の記録はあるもののその手前、望月の記録が見えないのは、恐らく日はまだ高く次の宿場まで余裕があって菊舎は寄らずに通り過ぎたのでしょう。  

気ままな旅人は菊舎の記録に従って一旦通り過ぎたのですが、横目に見えた景色が気になって引き返してみました。

 一帯は豪族望月氏が支配する地域で、かつては馬の産地として知られていました。朝廷や幕府への馬の献上がもっとも多かったと記録に見えます。

望月の姓は、馬の産地望月の牧が謂れだそうです。望月城址に城の痕跡は残っていませんでしたが、生い茂った木々を透かして見える一帯には、かつて名馬を育てる牧場が広がっていました。毎年旧暦815日の中秋の名月の日に朝廷や幕府に馬の献上が行われていたのです。

望月の日に馬を献上する牧場を望月の牧といい、それが豪族の苗字になり宿場の名になったようです。

「逢坂の関の清水に影見えて今や引くらん望月の駒」と紀貫之が詠んだほど望月の馬は有名だったようです。

 (中村 佑)    2017年11月15日



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