よそ見 わき見 気まま旅

第45回  中山道(下諏訪)
―諏訪湖―
 
 諏訪といえば諏訪大社。そして何よりも御柱祭が有名です。ただこの祭りは、寅の年と申の年にしか行われない式年祭のため、気ままに出掛けても観ることは出来ません。だけどいつでも優しく迎えてくれるのは諏訪湖です。

 地殻変動で地表が引き裂かれて出来た信州一の湖です。気ままな旅人が訪れた4月の湖は、ひねもすのたりのたりかな、という風情でした。しかしこの穏やかな湖が冬季、湖面全体が凍結した激寒の夜、激痛に耐えかね突然悲鳴をあげると教えられ驚きました。
 湖面を覆った氷が、夜になって気温が下がると一気に凍結が進んで膨張します。すると膨張の限界を超えた氷は激しい音を発てて割れ、盛り上がるのです。その高さは50cm1mにもなり対岸まで続くそうです。御神渡(おみわたり)と呼ばれています。
 写真の諏訪湖はとてもそのような激しさを隠しているようには見えません。沖合にゆったり浮かぶ像は八重垣姫のブロンズ像です。上杉謙信の娘ということになっていますが、架空の人物です。浄瑠璃に登場するそうです。
 八重垣姫が、白狐の力を借りて氷った諏訪湖を渡った話が像の由来だとか。湖面に浮いたように設置されているのはそういう訳があったのですね。
 (中村 佑)    2017年7月17日



ホームへ