よそ見 わき見 気まま旅 |
第41回 中山道(馬籠) | |
―馬籠峠 雄滝― |
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「木曽路はすべて山の中である。」 よく知られた島崎藤村の名作『夜明け前』の書き出しです。そして、その島崎藤村は、ここ馬籠の出身であることもよく知られています。 馬籠宿の特徴は何と言っても、峠に向かう急斜地に造られた宿場の端から端まで全く平地が無いことでしょう。 坂道の両側に建つ家々は、石を組んで造った僅かな平地に軒を連ねています。今でこそ旧街道は、綺麗に加工された花崗岩が敷き詰められ歩き易くなっていますが、昔は自然石を敷き詰めた石畳でした。 落合宿から馬籠宿に到る間にも、十曲峠と呼ばれる難所があります。しかしその先、馬籠宿から妻籠宿に向かうには、標高800mの馬籠峠を越えなくてはなりません。途中、雄滝、雌滝と呼ばれる二つの滝が僅かな距離を置いて並んでいます。古くから木曽路の名所の一つとして知られていました。 江戸時代は、その滝壺をまたいで掛けられた数本の杉の丸太が唯一の通路でした。勿論手すりなどはありませんから、旅人は転落の恐怖に身をかがめて丸木橋を渡ったようです。それは菊舎の句「目の下に見てひやつきぬ瀧の月」からも容易に想像が出来ます。 |
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(中村 佑) 2017年1月12日 |