よそ見 わき見 気まま旅

第38回  中山道(草津)
 草津宿
 かつて草津宿は、東海道と中山道が出合う宿場としてとして大変栄えました。勿論今でも国道1号線(東海道)と8号線(中山道)が合流する街に変わりはありませんが、近代化が進んだお蔭で古い家並みは殆ど残っていません。
 菊舎の時代、両側に旅籠や商店が立ち並ぶ宿場通りは、端が見通せないくらい長大な宿場だったそうです。それが今では、大修理が行われた本陣が辛うじて往時を語っているくらいです。
 それとて余りにも綺麗になり過ぎて、再び時代の香りを放つようになるまでには半世紀以上の年月が必要ではないかと思われます。写真は、向かいにあった小さなお堂を入れ、少しばかり古い町らしい雰囲気にしてみました。
 初めて菊舎がこの宿場を通ったのは、萩で傘狂への添え書きをいただき、美濃に向かう旅の途中でした。傘狂の許しを貰えると直ちに、北陸、東北を行脚の後、江戸に入ることを目論んでいた菊舎、草津の追分に立って江戸の方角を見通しながら一体何を思ったでしょう。
 公家の町、京とは一味違った庶民の町江戸。大勢の文人墨客が集う町。一方で魑魅魍魎が跋扈する町でもある江戸。それら混沌とした町の魅力が、いつまでも菊舎を追分の傍に立たせていたのではないかと想像されます。
 (中村 佑)    2016年10月10日



ホームへ