よそ見 わき見 気まま旅

第20回  姥捨 長楽寺
 JR篠ノ井線の姨捨駅の標高が551m。それより少し下がった所が長楽寺です。境内には観音堂と月見堂の二つのお堂が有ります。芭蕉の面影塚や沢山の俳人の句碑も建っています。遠く山裾に広がるのは、川中島の古戦場です。絶景地に建つ寺ですが、車の無い昔、徒歩で上るのは一苦労だった筈です。

畑仕事の手を止めて相手をしてくれた男性の話に依ると「昔は姨捨側と更級側に二つのお堂があり、旅人がよく使っていた。お堂に泊まる旅人を見かけると、村の百姓はおにぎりなどの差し入れをして旅人を慰めた。芭蕉は更級日記を書いたから、更級側のお堂に休んだに違いない。」と聞かせてくれました。

 菊舎は、梅雨末期の大雨に苦しめられながら善光寺に辿り着きましたが、姨捨山でも大変な雨に降り込められました。日暮れて、先へ進むことさえままならない時に見つけたのが古びたお堂でした。ぐしょ濡れの身体で一夜を明かしたお堂は何処にあったのでしょう。

 (中村 佑)    2015年4月3日



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