よそ見 わき見 気まま旅 |
第17回 |
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糸魚川市の“出”と云う地区に「月不見の池」と呼ばれる名勝が有ります。地すべりで陥没した場所に水が溜まって出来た、いわば天然の湖です。周囲を鬱蒼とした樹木や藤のつるに囲まれているため、湖面に映る月の姿が見えないとこらから名前が付けられました。 | |
畑仕事の手を休めて、たばこを吹かしていたオジサンに道を尋ねました。すると、今の時期に行っても見るものは何もない、と言われました。藤の花の季節には藤祭りが開かれて賑わうそうです。それでもいいので行ってみる、と言うと「あんたも余ほど暇人じゃな。よし、それじゃあ連れて行こう。」と言いながら鍬を傍らに押しやり、たばこをもみ消して立ち上がりました。 「いえいえ、それには及びません。一人で大丈夫です。道はこの道で間違いはありませんか?」「あぁ、2キロくらい先だけど、行けばわかる。」 だったら、わざわざ連れて行って貰うこともないではないか。オジサンの方が余ほど暇人ではないのかな。越後のゆるりとした時間でした。 |
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(中村 佑) 2015年1月1日 |