よそ見 わき見 気まま旅

第24回  米沢

普門院と呼ばれる寺院は各地にあります。米沢の此処は、上杉鷹山の師、細井平洲が江戸より米沢来訪の折、藩主鷹山みずから城下はるかこの地まで出迎えに赴き、心を込めて労をねぎらった場所です。
 たとえ藩主といえども迎える相手は師。細井平洲からすれば、弟子とはいえども相手は藩主。地に手を付けて挨拶をするべきところですが、そうすれば藩主鷹山は、師を立てて矢張り地に手をついて挨拶を返すに違いない。そう考えた平洲は、膝に手を触れる形で挨拶をしました。すると藩主もそれにならい、膝に手を置く形で応じました。お互いを敬う師弟の姿が、境内の一字一涙の碑に刻まれています。

「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」など多くの名言を残した鷹山らしい、人間の大きさを物語る美談です。菊舎が米沢を通った10数年後の出来事でした。
 米沢ではもう一人、NHK大河ドラマ「天地人」に描かれた知勇兼備の名将直江兼続がよく知られています。変った形の墓標ですが、左が兼続、右が妻お船のお墓です。

 (中村 佑)    2015年8月3日



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